「生姜緑茶ハニー」は新型コロナウイルスの予防に役立ち得るか?

2020年3月10日(火)の19時00分~21時48分、テレビ朝日系列の『林修の今でしょ!講座3時間SP』では、ハチミツ対バターの健康効果の講義が放映される予定で、ハチミツの健康効果については食品医学研究所の平柳要所長が講義いたします。

 

 

そこで、食品医学研究所長がイチオシの『生姜緑茶ハニー』が、なぜ新型コロナウイルスの予防に役立つ可能性があるかについて、解説を加えたいと思います。

ここでは、まずハチミツの抗菌効果について解説してみたいと思います(出典:華中農業大学, Saudi J Bio Sci, 2018)。

細菌(バクテリア)に対しては、ハチミツは5つの手段で抗菌効果を発揮します。

(1)ハチミツにはブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)がおよそ半分ずつで糖質が全体の約80%を占める(水分は20%弱)ため、細菌が高張性脱水を起こしてしまう劣悪環境であり、増殖が困難となります。

(2)ハチミツに含まれるグルコースオキシダーゼという酵素が空気が触れる環境においてグルコースと反応し、グルコン酸と殺菌作用のあるオキシドール(過酸化水素)をつくりだし、このオキシドールが標的とした細菌に向けて活性酸素を放出して殺菌します。

(3)ハチミツに含まれるデフェンシン-1という抗菌ペプチドが直接、最近を攻撃して殺菌します。

(4)ハチミツにはルチン、ケルセチン、カテキン、ケンフェロールなど、ポリフェノールのうちのフラボノイドに分類される機能性有機化合物が数多く含まれており、たとえばルチンは細菌の遺伝子(DNA)を切断して増殖を防ぎます。

(5)ニュージーランド原産のマヌカの木から採蜜されるマヌカハニーにはメチルグリオキサール(MGO)という抗菌物質が含まれています。

このように、ハチミツには4つないし5つの手段によって異物としての細菌の体内侵入ないし増殖を防ぐパワーがあるのです。

そして、インドのSaveetha大学による百花蜜での抗菌活性を調べた試験管内試験(in vitro)において、リネゾリド(Linezolid)を除く多くの抗生物質が効かないメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても抗菌効果を発揮した(J Clin Diagn Res, 2017)ことから、ハチミツは「食べる抗生物質」とも言われています。

 

次に、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がっている状況下、ハチミツの抗ウイルス効果について解説してみたいと思います。

ウイルスに対しては、ハチミツは各種フラボノイドとマヌカハニー特有のメチルグリオキサール(MGO)で抗ウイルス効果を発揮します。

ウイルスはその構造から、脂質膜と糖蛋白質からなるエンベロープをもつエンベロープウイルスと、エンベロープのないノンエンベロープウイルスに分けられます。

新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ジカウイルスなどはエンベロープウイルスに属します。

消毒用アルコール(濃度70%)または石鹸による手洗いは、このエンベロープを壊してウイルスにダメージを与えるため、エンベロープウイルスに有効なのです(次亜塩素酸ナトリウム0.1%液はエンベロープの有無にかかわらず有効です)。

長崎大学による試験管内実験(in vitro)で、いろいろな種類のハチミツの抗インフルエンザウイルス活性を調べたところ、マヌカ>ソバ>甘露(樹液由来)>アカシア>レンゲの順であり、マヌカハニーやソバハチミツがインフルエンザウイルスに対して効果が大きいことが分かりました(Arch Med Res, 2014)。

これは、マヌカハニーのメチルグリオキサール(MGO)やソバハチミツに多く含まれるフラボノイドのルチンが強い抗インフルエンザウイルス活性を持っているためです。

イランのカーマン医科大学での試験管内実験(in vitro)で、一般のハチミツでもエンベロープを持つ単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に対して、アシクロビルという抗ウイルス薬に匹敵する効果があることを明らかにしています(Wounds, 2014)。

また、シリアのテシュリーン病院での試験管内実験(in vitro)で、一般のハチミツでもエンベロープを持つ風疹ウイルスに対して、抗ウイルス活性を持つことを明らかにしています(J Altem Complement Med, 1996)。

インドのチャンディガー薬科大学による総説で、抗ウイルス活性が高いポリフェノール(主な含有食材)として、ルチン(ソバ、ハチミツ)、クリシン(多くの果物、ハチミツ)、ケルセチン(玉ネギの皮)、ケンフェロール(ブリッコリー)、エラグ酸(イチゴ)、カテキン(緑茶)などを挙げています(J Pharmacy Res, 2012)。

なお、ルチンをはじめとする多くのフラボノイドは200℃くらいまでの加熱では分解しません。

さらに、ウイルスは遺伝子(核酸)がDNAタイプのものとRNAタイプのものに分けられ、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ジカウイルスなどはRNAタイプで、RNAタイプはDNAタイプに比べて変異しやすいという特徴があります。

シンガポール国立大学での最新の試験管内試験(in vitro)において、ハチミツやプロポリスに含まれるフラボノイドのピノセンブリンエンベロープをもち、かつRNAタイプのジカ(Zika)ウイルスに対し、ウイルス複製時にエンベロープ糖蛋白質合成とRNA産生を阻害することを明らかにしています(Antiviral Res, 2019)。

新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスやジカウイルスもエンベロープを持ち、かつ遺伝子(核酸)の種類がRNAタイプであるため、このピノセンブリンもこれらのウイルスに対して直接的に抗ウイルス効果を発揮する可能性があります。

 

次に、緑茶カテキンの抗ウイルス効果について解説します。

緑茶カテキンのうち、エピガロカテキンガレート(EGCG)が最も強力な抗ウイルス作用を有しています。

スペインの国立テクノロギアアグラリア・アリメンタリア研究所での試験管内実験(in vitro)などで、緑茶のEGCGには強力な抗ウイルス作用があり、これまでにB型およびC型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、インフルエンザウイルスA型およびB型、日本脳炎ウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、水疱性口炎ウイルス、エンテロウイルス71型(手足口病)、チクングニアウイルス、デングウイルス、ジカウイルスなどに効果がありました(Front Microbiol, 2017, etc.)。

韓国化学技術研究所での試験管内実験(in vitro)では、緑茶のEGCGは新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど、エンベロープウイルスに対して広範な抗ウイルス活性を持っていると述べています(Antiviral Res, 2013)。

その作用機序は、EGCGがエンベロープを物理的に損傷させてカプシド内のウイルス粒子を収縮させたり、ノイラミニダーゼ(NA)というエンベロープ外のスパイク状蛋白質を部分的に阻害して宿主細胞内で増殖したウイルスが細胞外に放出されるのを防いだりするためだそうです。

韓国の全南大学での試験管内実験(in vitro)で、EGCGやガロカテキンガレート(GCG)といったガレート部分(ガロイル基)を有するカテキンが重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)の複製に不可欠な3CL-プロテアーゼというペプチド結合加水分解酵素の活性を阻害することで、ウイルスの増殖を防ぐそうです(Biotechnol Lett, 2012)。

静岡大学では、これまでに報告された8編の緑茶カテキンによるインフルエンザ予防効果の疫学調査結果をまとめており、緑茶カテキンを摂取した場合は3編の論文すべてで抗インフルエンザ効果の有効性が認められましたが、緑茶カテキンでうがいをした場合は5編の論文のうち2編しか有効性が認められませんでした(Molecules, 2018)。

また、静岡大学による臨床比較試験で、緑茶カテキン57mgを一日3回、3か月間摂取し続けた群は急性上気道感染症(URTI)の発症率が13.1%であり、プラセボ群の26.7%に比べて有意に低いことが分かりました(Nutrients, 2019)。ここで、湯呑1杯(150ml)に溶け出す緑茶カテキン量を約45mgとすると、緑茶カテキン摂取群は一日4杯くらいの煎茶を飲んだことに相当します。

このように、緑茶(カテキン)によるうがいではなく、緑茶(カテキン)をできるだけチョビチョビと頻繁に一日4杯以上の量を飲むことでインフルエンザの予防効果がしっかり発揮されると考えられます。

したがって、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの予防対策として、緑茶カテキンとりわけEGCGをたっぷりとること、それには80℃くらいの湯温で淹れた煎茶をときどきチョビチョビと一日4杯以上飲むことが推奨されます。

 

次に、ショウガによる抗ウイルス効果について解説してみたいと思います。

パキスタンの獣医動物科学大学での試験管内実験(in vitro)で、ショウガとニンニクの水抽出物がエンベロープを持ち、かつRNAタイプの鳥インフルエン

ザウイルス(H9N2)に対して抗ウイルス活性を示すことを明らかにしています(Pak J Pharm Sci, 2017)。

特に、ショウガはニンニクよりも細胞毒性(生きている正常細胞に何らかの傷害を与えてしまう性質)が低いため、ショウガはこの時期の抗ウイルス食材としておすすめです。

また、台湾の高雄医科大学での試験管内実験(in vitro)で、生のショウガに多く含まれるジンゲロールが肺炎を起こしやすいエンベロープを持つRNAタイプのヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)に対して抗ウイルス活性を持つことを明らかにしています(J Ethnopharmacol, 2013)。

 

結論として、マスクの着用や、手洗いまたは消毒用アルコールによる消毒の励行に加えて、生姜緑茶にハチミツを加えた『生姜緑茶ハニー』をマイボトルなどに用意して、時々チョビチョビ飲むことで、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスへの感染予防効果が高まると考えられます。

ハチミツ、緑茶、ショウガに含まれるフラボノイドやフェノール酸にもヨーグルトや多糖類・オリゴ糖のように免疫系がうまく働くように調節する機能(免疫調節力)はありますが、これらの食材は直接、ウイルスを攻撃するパワー(抗ウイルス活性)が強力であり、これらの食材による免疫調節力についてはあまり即効性がないのでここでは触れておりません。

注:これらのエビデンス(科学的根拠)から、必ずしも新型コロナウイルス(COVID-19)への感染予防に役立つとは断言できませんが、新型コロナウイルスのワクチンや抗ウイルス剤がまだ開発されていない状況下では、安全で安価で簡単な予防的手段として試してみる価値があると考えています。

なお、無農薬でスティックタイプの「粉末生姜緑茶は食品医学研究所の直営ショップで販売しております。https://www.rakuten.co.jp/food-medicine/