アルツハイマー病の予防が期待できる薬用食材とは?

2020年1月11日(土)、午後9時(50分間)からのNHKスペシャルで「認知症の第一人者が認知症になった」という番組が放映されました(なお再放送は1月16日(木)、午前0時55分から)。

かつて「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれる認知症の早期診断の指標を開発し、「痴呆」という呼び名を「認知症」に変えることを提唱した認知症医療の第一人者だった聖マリアンナ医科大学名誉教授の長谷川和夫さん(90)が認知症になられ、番組内容は長谷川先生の現在の生活状況のドキュメンタリーでした。

現在、65歳以上の認知症患者数は7人に1人の約462万人、認知症予備軍の「軽度認知障害(MCI)」数も400~500万人おります。

そして、2025年には65歳以上の認知症患者数は5人に1人の約650万人になると予測されています。

「認知症」というのは「日常生活に支障をきたすほどに認知機能が低下した状態」を表す言葉であり、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は認知症の原因となる病気の一つです。

したがって、認知症といっても種類があり、多い順から、①アルツハイマー型(67.6%)、脳血管性(19.5%)、レビー小体型(4.3%)などであり、およそ3分の2がアルツハイマー型です。

アルツハイマー病は、大脳全般が萎縮してきますが、特に海馬という一時的に記憶を保持する場所の萎縮が顕著となり、昔のことはよく覚えているが、最近のことは忘れてしまい、徐々に進行し、やがて自立した日常生活ができなくなってしまいます。

のように、認知症による記憶力の低下が起こる約25年も前から脳の神経細胞の外にアミロイドβといった異常な蛋白質のプラーク(老人班)が溜まり始め、その10年後の約15年前からは神経細胞の中にリン酸化したタウ蛋白質も溜まりだし、これらによって神経細胞が破壊されて脳に萎縮が起こります。

現在、アルツハイマー病の症状を多少抑えるクスリ(ドネジペル、メマンチンなど)は存在しますが、その進行を完全に止めたり、治癒させるクスリは存在しません。

このような現状では、アルツハイマー型や脳血管性の認知症を発症するかなり前からの予防がとても重要であることがわかります。

2017年、イランのイスファハン医科大学から「アルツハイマー病の予防や治療補助としての薬用食材の可能な役割」というレビュー(総説)が発表されました。

薬用食材には、抗酸化作用、抗(慢性)神経炎症作用、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用、アミロイドβ凝集阻害作用などがあり、これらの作用によって、アルツハイマー病の発症を予防したり、進行を遅らせたりすることができる可能性があります。

ただし、これらの効果は、in vitro(試験管や培養器内で動物やヒトの組織を用いた)実験、in vivo(動物を用いた)実験および臨床研究に基づく総合的判断から”アルツハイマー病に起因する認知機能の低下を防ぐ効果が期待できるかも”という観点で捉えていただきたいと思います。

では、アルツハイマー病に起因する認知機能の低下を防ぐ効果が期待できる薬用食材とは、どんなものなのでしょうか?

それは、効果の程度(順位)は比較評価されていないので、実用性の高いものから順に列挙すると、①しょうが、②にんにく、③とうがらし、④黒こしょう、⑤うこん、⑥シナモン、⑦朝鮮人参、⑧サフラン、⑨セージとなります。

この中で、シナモンは日常的にはあまり摂れませんし、朝鮮人参やサフランは高価すぎますし、セージは常食には向かない感じです。

では、しょうが、にんにく、とうがらし、黒こしょう、うこんは、どのような機序でアルツハイマー病による認知機能の低下を防ぐのでしょうか?

上述したように、これらの薬用食材にはほぼ共通して、抗酸化、抗(慢性)神経炎症に加え、アセチルコリンエステラーゼ活性を減衰する働き、アミロイドβの沈着を阻害する働きがあります。

このように、しょうが、にんにく、とうがらし、黒こしょう、うこんの5食材を適当に組み合わせて、習慣的に摂取することで、程度には個人差がありますが、アルツハイマー病や脳血管性の認知症の予防や症状の進行を遅らせることが可能になると考えられます。

認知症は脳の糖尿病とも言われ、2型糖尿病の人やその疑いのある人は、そうでない人に比べ、約2倍認知症になりやすいと言われています。 

それは、2型糖尿病ではインスリンが筋肉や肝臓などで使われてしまい、脳内でのインスリンが不足するため、脳内でブドウ糖を取り込む働きをする「グリア細胞」が異常に活性化して神経細胞を圧迫してしまうことと、のように、インスリン抵抗性によって血中に高濃度のインスリンが溜まってしまい、その消去のためにインスリン分解酵素(IDE)が大量に消費されてしまい、脳内でアミロイドβを除去するIDEの役割が失われてしまうこと、これらのしわ寄せが神経細胞に起こってしまうからと言われています。

なお、拙著「医学博士が考案した長生きふりかけ」(サンマーク出版)では、しょうが、にんにく、とうがらし、かつおぶしの4つの食材でつくるふりかけを提案していますが、そのうちの3つの食材には認知症や2型糖尿病の予防に役立つ可能性があります。

「長生きふりかけ」の4食材に、「うこん」を加えることで、うこんの主要成分のクルクミンがアルツハイマー病のもう一つの大きな原因とされる「グリア細胞」の異常活性を抑えるため、認知症の予防や進行遅延に役立つ可能性が一段と高まると考えられます。