がんの予防と治療補助の効果が期待できる薬用食材とは?

国立がん研究センターの予測(2019年)によると、日本人の男女別でがん罹患数が上位(1~5位)を占める部位別がんは、男性では①大腸、②胃、③肺、④前立腺、⑤肝臓であり、女性では①乳房、②大腸、③胃、④肺、⑤子宮です。

つまり、男女とも共通して大腸がん、胃がん、肺がんが上位を占め、それに男性特有の前立腺がんや女性特有の乳房がんと子宮がんが上位を占めるという様相です。

2016年、中国の広東省にある中山大学から「がんの予防と治療(補助)のための薬用食材」というレビュー(総説)が発表されましたので、ご紹介したいと思います。

薬用食材には、抗酸化作用、抗炎症作用、免疫調節作用などがあり、これらの作用などによって、がん細胞に対するアポトーシス(自滅)の誘発、腫瘍の増殖・移動・浸潤の抑制および放射線療法や化学療法に対する腫瘍の感受性増強(効き目が高まること)などが期待できます。

ただし、がんに対するこれらの効果は、これまでに発表された主に、in vitro(試験管や培養器内で動物やヒトの組織を用いた)実験、in vivo(動物を用いた)実験ならびにヒトの集団(疫学)調査に基づくもので、臨床試験での結果ではないため、あくまで”がんの予防や治療補助に役立つ可能性がある”という捉え方をしてください。

では、がんの予防や治療補助に役立つ可能性がある薬用食材とは、どんなものなのでしょうか?

このレビューでは効果の程度(順位)が比較評価されていないので、実用性の高いものから順に列挙すると、①しょうが、②にんにく、③とうがらし、④うこん、⑤黒こしょう、⑥ローズマリー、⑦ブラッククミン、⑧サフランとなります。

この中で、ローズマリーは香りづけにはいいのですが実用的ではなく、ブラッククミン(ニゲラサティバ)は苦味が強くて美味しくない黒い種であり、サフラン(クロッカスサティバス)は黄色いサフランライスでおなじみの上品な香りですが高価すぎて一般的ではありません。

では、しょうが、にんにく、とうがらし、うこん、黒こしょうは、それぞれどんな部位のがんに効果が期待できるのでしょうか?

まず、「しょうが」は、ジンゲロール(G)、ショウガオール(S)、パラドール(P)という不揮発性で辛みのある生理活性物質による抗酸化、抗炎症、抗腫瘍、抗菌、抗発がん性などによって、乳房がん(S)、大腸がん(G,S)、肺がん(S)、前立腺がん(G,S,P)に効果が期待できそうです。

「にんにく」は、アリインからの代謝産物であるアリシン(A)、ジアリルスルフィド類(D)、S-アリルシステイン(S)、チアクレモノン(T)の抗酸化、免疫調節、化学療法感受性増強などによって、乳がん(D,S)、大腸がん(S)、肺がん(T)、胃がん(D)に効果が期待できそうです。

ねぎや玉ねぎも、にんにくと同じネギ属であるため、にんにくと同様ながん予防効果が期待できます。

「とうがらし」は、カプサイシン(C)という刺激物質による抗腫瘍性などによって、乳がん(C)、大腸がん(C)、肺がん(C)、胃がん(C)、前立腺がん(C)に効果が期待できそうです。

「うこん」はターメリックとも呼ばれ、クルクミン(C)という黄色のポリフェノールの代謝産物による抗腫瘍性などによって、乳がん(C)、大腸がん(C)、肺がん(C)、胃がん(C)、前立腺がん(C)、肝臓がん(C)、子宮頸部がん(C)に効果が期待できそうです。

「黒こしょう」は、ピペリン(P)というアルカロイド系の辛味物質による抗腫瘍性などによって、乳がん(P)、大腸がん(P)、前立腺がん(P)に効果が期待できそうです。

一般に、抗がん剤(化学療法)などの薬剤は効き目も大きいのですが、副作用も強く表われやすいので、がんの予防には不向きです。

一方、複数の薬用食材を日常的に少しずつ摂る方法であれば、効果が表われやすく、副作用も抑えられ、しかも簡便で安価、美味しければなおさらいいといった利点があるため、特にがんの予防には最適であると思います。

しょうが、にんにく、とうがらし、黒こしょうの副作用については、通常の食事で摂取される程度であれば安全であり、うこんについても高用量の長期摂取では消化不良・嘔気・下痢や肝臓障害がおこる可能性がありますが、通常の食事で摂取される量であればあまり心配しなくて大丈夫です。

乳がんの60~70%は女性ホルモンの影響を受けて分裂・増殖する「ホルモン感受性乳がん」ですが、ホルモン感受性乳がんだけでなく、女性ホルモンやHER2というがん遺伝子にも関係しないトリプルネガティブ乳がんにも、これらの薬用食材は効果を発揮するようです。

このように、しょうが、にんにく、とうがらし、うこん、黒こしょうの5食材を適当に組み合わせて、習慣的に摂取することで、程度には個人差がありますが、日本人がかかりやすい部位別がんのすべての予防が可能になると考えられます

ちょっと、PRになりますが、拙著「医学博士が考案した長生きふりかけ」(サンマーク出版)では、しょうが、にんにく、とうがらし、かつおぶしの4つの食材でつくるふりかけを提案していますが、そのうちの3つの食材にはがん予防効果が期待できますし、放射線治療や抗がん剤治療の治療補助としても役立つと考えられますので、治療補助に関しては担当医と相談してみてください。

「長生きふりかけ」の4食材に、「うこん」、「黒こしょう」、「きな粉」をときどき加えて摂るようにすれば、日本人の主要な部位別がんの予防効果がさらにパワーアップすると考えられます。