生姜緑茶が口内ケアに役立つというのは本当か?

【要旨】口内環境を口の中だけの問題だと思っている人は大間違いで、口内環境を良い状態に保つと、さまざまな病気になりにくくなり、健康の維持・増進につながります。口内環境を良い状態に保つには、「生姜緑茶」が大きな力を発揮し、「虫歯」、「歯周病」、「口内炎」から遠ざけてくれます。緑茶はさらに「口臭対策」にも役立ちます。もちろん、食後に歯磨きなどの手入れをしたり、しっかり唾液がでるように噛む回数を増やしたりすることも大切ですが、「生姜緑茶」でうがいをしたり、「生姜緑茶」をこまめに飲む習慣をつけると、口内環境を良い状態に保つことができます。

☞「長寿の鍵は口にあり」といわれるほど、高齢者や病人にとっては口内ケアが大切です。
口にはいろいろな食べ物や飲み物などが入ってくるため、有害な「バイ菌」が増殖しやすく、たとえば歯垢1gにおよそ1,000億のバイ菌がいると言われています。
口内の環境が悪化すると、虫歯(caries)や歯周病(periodontitis)、口内炎(denture stomatitis)、口臭(halitosis)などに悩まされるだけではなく、腸内細菌叢のバランスも崩れ、免疫力が低下し、
体調まで崩すようになります。

では、生姜緑茶はどのようにして「口内ケア」に役立つのでしょうか?

まず、生姜も緑茶も「虫歯」を遠ざけます。
虫歯菌とは、虫歯をつくる菌の総称で、その代表的なものがミュータンス菌(S. mutans)です。

は、インドのジー・プラ・レッディー(G. Pulla Reddy)歯科大学での試験管内実験で、虫歯菌に対する10種類の植物の抽出物の抗菌効果を調べたもので、濃度によって結果が異なってくると思いますが、クローブ精油や生姜ニンニクは抗菌力が大きく、インドなどで歯磨き粉として使われているニームはやや大きく、生姜やニンニクは単独では中くらい、緑茶はやや弱く、ウコンやユーカリ精油は抗菌力ゼロでした。

インドのナーシンバイ・パテル(Narsinhbhai Patel)歯科大学病院の試験管内実験によると、生姜だけ、あるいは蜂蜜だけでもゲンタマイシン(外用殺菌薬)と同程度、虫歯菌を阻止する力はありますが、生姜とハチミツを組み合わせると、さらなる虫歯予防効果を発揮するそうです。

太陽化学(株)や日大松戸歯学部での動物実験や試験管内実験で、緑茶は虫歯をつくるミュータンス菌などを殺菌し、虫歯を防ぐことを報告しています。
だだし、虫歯菌の殺菌効果は、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCG)といったガロがつくカテキンで強力であるという報告と、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピカテキンガレート(ECG)といったガレート基(ガロイル基)を持つカテキンで強力であるといった二通りの報告があります。

生姜も緑茶も「歯周病」を遠ざけます。
歯周病とは、歯を支える歯肉や歯槽骨が壊されていく病気で、中高年者が歯を失う最大の原因です。
歯周病の原因となるのはジンジバリス菌(P. gingivaris)などの細菌で、これらの細菌がプラーク(歯垢)という塊に集まり、歯周組織に炎症を引き起こすため、歯周がもろくなり、歯がぐらついてくるのです。

イラクのバビロン大学での試験管内実験ですが、生姜抽出物は抗原虫薬のメトロニダゾールと同程度に、ジンジバリス菌を阻止します。

韓国の韓国生命工学研究院での試験管内実験で、生の生姜に多く含まれるジンゲロールが歯周病の原因となるジンジバリス菌を阻止することを報告しています。

カナダのラバル大学での試験管内実験では、緑茶抽出物の特にエピガロカテキンガレート(EGCG)がジンジバリス菌を阻止することを報告しています。

インドのジョードプル歯科大学総合病院での臨床比較試験で、濃度0.2%のクロルヘキシジン、2%のニーム、0.5%の緑茶でうがいをしてもらい、開始前と2週間後のプラークインデックス(プラークなしの0~プラーク多量の3までの評価)を調べたところ、クロルヘキシジンでは1.52→0.80、ニームでは1.52→0.56、緑茶では1.55→0.22となり、うがい薬のクロルヘキシジンやニームよりも緑茶のほうが、はるかに歯周病予防につながることがわかりました。

生姜も緑茶も「口内炎」を遠ざけます。
口内炎とは、一つの病気を指すのではなく、口の中の粘膜に生じる炎症を総称したものです。

イランのバボル医科大学での臨床試験で、ガンジダ・アルビカンスという真菌(カビ)で生じた口内炎に対し、50人の患者さんを2%の生姜水5mlでのうがい群と、抗生物質のナイスタチン(nystatin)でのうがい群に分け、2週間後の改善度を比べました。
その結果、生姜水でのうがいでも、抗生物質と同じくらいの改善度を示し、しかも副作用の心配がほとんどいらないという成績でした。

日大松戸歯学部での試験管内実験で、カテキン、とりわけエピガロカテキンガレート(EGCG)を抗真菌薬アムホテリシンB(amphotericin B)やフルコナゾール(fluconazole)と併用することによって、ガンジダ・アルビカンスによる口内炎を抗真菌薬の副作用をあまり心配することなく改善できるそうです。

緑茶は「口臭」を抑えます。
歯周病もなく、鼻・咽喉・胃腸にも問題なく、ニンニクなどの口臭発生食品も食べていないのに口臭が気になる場合は、真菌(カビ)の一種であるソロバクテリウム・ムーレイ(S. moorei)の可能性があります。

カナダのラバル大学での研究では、緑茶のエピガロカテキンガレート(EGCG)が口臭の原因菌のソロバクテリウム・ムーレイを阻止して、口臭を抑えるそうです。

ソロバクテリウム・ムーレイ以外の口臭の原因物質は、主に硫化水素とメチルメルカプタンです。
筑波大学での試験管内実験で、メチルメルカプタンによる口臭を抑えるには、ゴボウ、チコリ、りんご、なし、プルーン、ソルダム、マッシュルームが良いそうです。

米国のオハイオ州立大学での試験管内実験で、ニンニクを食べた後の口臭対策には、牛乳、電子レンジでチンしたリンゴ、緑茶、レモンジュースが良いそうです。

なお、オランダのマーストリヒト大学の臨床試験で、1日にエピガロカテキンガレート(EGCG)0.56g以上とカフェイン0.28~0.45gを12週間とり続けても、人の腸内細菌叢には変化を及ぼさないことを報告しています。
エピガロカテキンガレート(EGCG)のすごいところは、口内の悪玉細菌は阻止しても、腸内細菌叢のバランスには影響を及ぼさないことです。
生姜と緑茶(煎茶)の粉末をヨーグルトにかけたりして食べると、口から腸までの消化器官の調子がよくなりそうです。

昼食など食事した後、歯磨きをする場所や時間がない人は、せめて「生姜緑茶」でうがいをしたり、「生姜緑茶」を飲んだりすると、虫歯、歯周病、口内炎、口臭などの予防に効果が期待できます。
もちろん、歯磨きに加えて、ときどき「生姜緑茶」をとることを習慣化すれば、口内ケアはほぼ完璧といえましょう。