生姜緑茶は変形性関節症や関節リウマチの症状改善に役立つ

【要旨】変形性関節症(OA)は、関節部位の酷使で軟骨がすり減り、炎症を起こして痛みや腫れをきたす疾患で、患者数は少なくとも1,000万人と推測されています。一方、関節リウマチ(RA)は、何らかの原因で免疫バランスが崩れ、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)という炎症性サイトカインが大量に産生され、関節組織の破壊や骨・関節の変形をもたらす自己免疫疾患です。この両疾患に共通するのは関節部位の慢性的な炎症性疾患で、しかも痛みを伴うことです。生姜も緑茶も強力な消炎・鎮痛作用を有するため、変形性関節症(OA)や関節リウマチ(RA)の予防も含め、これらの症状改善には「生姜緑茶」習慣と有酸素運動の組合せが、副作用の心配がなく、しかもクスリレベルの効果を発揮します。

☞変形性関節症(Osteoarthritis; OA)は、軟骨がすり減ったり、なくなったりして膝の形が変形し、痛みや腫れをきたす病態です。
OAの患者数は約1,000万人、潜在的な患者数(予備群)は約3,000万人です。
OAの特徴として、①女性は男性の1.5~2倍かかりやすい、②膝への負担をかける期間が長い高齢者、③膝に余計な負担がかかる肥満者、④膝関節周りの筋肉が衰えている人、⑤膝に大きな負担がかかるスポーツをやった経験のある人、⑥膝の内側に負担がかかるO脚ぎみの人、などです。
OAになると、運動痛や関節の可動域の制限などで、生活の質(QOL)を著しく低下させるおそれがあります。
OAの予防は、関節に負担をかけずに、関節周りの筋肉を鍛えることで、それにはストレッチ、ヨガ、ハイキング、温水中ウォーキングなどがよいでしょう。
生姜や緑茶はOAの予防よりも、OAの症状緩和にかなりの効果が期待できますので、そのエビデンス(科学的根拠)をご紹介しましょう。

まず、生姜によるOAの症状緩和効果について、サウジアラビアのキングファイサル大学でのラットを用いた研究で、健康なラット、関節症を誘発させたラット(AIA)、関節症を誘発させたラット(AIA)に、インドメタシン、ウコン(200mg/kg)、生姜(200mg/kg)を28日間与えた場合の血中TNF-α濃度(左図)と血中IL-1β濃度(右図)を示しました。
なお、図中の■は初日から、□は15日目から、ウコンまたは生姜を与えた場合を表します。
結局、関節症を誘発したラットにウコンまたは生姜を与えると、非ステロイド性抗炎症薬のインドメタシンよりも、炎症性サイトカインのTNF-αやIL-1βの産生を抑えることが分かりました。
OAやRAの患者さんは時々、すりおろし生姜入りカレーもしくは生姜緑茶粉末入りカレーを召し上がるといいのかな?と思います。

イランのカスピ海生態学研究所(Ecological Institute of Caspian Sea)では、OAの患者さんを1日30mgの生姜抽出物をとる生姜群、プラシーボとして乳糖をとる対照群、イブプロフェン400mgをとる消炎鎮痛薬群に分けて、1カ月後の痛みの様子を視覚的評価スケール(VAS)という方法を用い、今の痛みが0(痛みゼロ)から100(極度の痛み)のどこにあるかを10cm物差し上で評価しました。
その結果、生姜群は71.7→30.0、対照群は64.2→56.5、消炎鎮痛薬群は71.2→28.0となり、生姜は消炎鎮痛薬(NSAIDs)と同等に、痛みを軽減することがわかりました。
イブプロフェンの主な副作用は胃腸症状で、特に高齢者が長期服用する場合は気を付ける必要がありますが、生姜ならばほとんど副作用がないので安心です。

デンマークのコペンハーゲン大学病院では、生姜によるOAの痛みと不具合の改善効果について、5つの論文での統合評価(システマティック・レビュー)を行っています。
それによると、生姜はプラシーボに比べ、痛みの標準化平均値の差(SMD)が-0.3、不具合度の標準化平均値の差が-0.22となりました。
SMDは一般に0.2前後では小さな効果、0.5前後では中くらいの効果、0.8前後では大きな効果を表わしますので、生姜は痛みの緩和および不具合の改善に対して小さな効果ですが、確実に効果があるということです。
なお、この5つの論文での生姜の摂取量は粉末生姜で1日あたり0.5~1.0g(生の生姜で5~10g)、期間は3~12週間でした。

イランのシャヒド・サドイ(Shahid Sadoughi)医科大学では、膝のOA患者さんを粉末生姜0.5g/日をとる生姜群と同量のプラシーボをとる対照群に分け、炎症性サイトカインと呼ばれる腫瘍壊死因子-α(TNF-α)とインターロイキン-1β(IL-1β)の量を調べたところ、試験開始時では両群で差は見られませんでしたが、3ヵ月後ではTNF-αもIL-1βも対照群に比べ、生姜群で有意に減少していました。
なお、このTNF-αやIL-1βはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を発現させ、COX-2によりプロスタグランジンE2(PGE2)が産生されると関節の炎症や組織破壊を進行させてしまう原因物質です。

緑茶によるOAの症状緩和については、イランのシーラーズ医科大学による研究で、OAの患者さんを、緑茶抽出物と抗炎症薬のジクロフェナクの両方をとる群、ジクロフェナクだけをとる群に分け、4週間後の痛みの程度を視覚的評価スケール(VAS)と変形性股関節症の健康関連QOLをみる疾患特異的尺度(WOMAC)で評価しました。
その結果、緑茶とジクロフェナクの両方をとった群はジクロフェナクだけの群よりも、VASによる痛みやWOMACによるQOLが有意に改善しました。
そのため、ジクロフェナク単独よりも補助的手段として緑茶を用いると、痛みや関節機能の改善が期待できます。
日本では、ジクロフェナクは「ボルタレン」という商品名で販売されていますが、OAの症状緩和にはまずは「生姜緑茶」を試してみてはいかがでしょうか?

一方、関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis; RA)は、免疫細胞のマクロファージが主に手足の関節の組織内で暴走し、炎症性サイトカインの腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)という物質を大量に放出し、関節の組織を破壊したり、マクロファージが合体して破骨細胞に変身し骨まで破壊して関節を変形させたりする炎症性自己免疫疾患です。
RAの初期症状は、関節炎による朝のこわばり(morning stiffness)、腫れや痛み、発熱などです。
RAの患者数は約70~80万人といわれ、発症年齢は30~50歳代で多く、特に女性は男性の3倍です。

RAの予防は、禁煙すること、腸内環境を整えること、感染症にできるだけかからないこと、など主に免疫力を正常に保つことです。
最近、米国のブリガム婦人科病院では、糖入り炭酸飲料を1日に4杯以上飲む女性は1杯未満の女性に比べ、RAの発症リスクが1.66倍高いという報告をしています。

生姜や緑茶はRAの症状緩和について、OAほど人での試験報告はありませんが、エビデンス(科学的根拠)となりそうなものをご紹介します。

生姜によるRAの症状緩和効果について、デンマークのコペンハーゲン大学病院での試験管内実験で、生姜の抗炎症効果は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)のイブプロフェンよりも強力で、ステロイド(副腎皮質ホルモン合成薬)のベタメタゾンと同程度であると述べています。
しかし、RAの患者さんへのステロイドの使用には副作用の問題があり、様々な意見がありますが、生姜はステロイドのベタメタゾンに匹敵する抗炎症効果があり、しかも副作用がほとんどないという特徴があります。

デンマークのオーデンセ(Odense)大学の臨床試験で、OAの患者さん18名とRAの患者さん28名に、生の生姜を大体1日に20g前後または粉末生姜を1日に0.5~3g、数カ月間とってもらいました。
その結果、OAの患者さんではOAによる痛み(腫れ)が、著しく改善した55%(50%)、かなり軽減した22%(20%)、多少軽減した11%(10%)でした。
一方、RAの患者さんでRAによる痛み(腫れ)が、著しく改善した74%(59%)、かなり軽減した11%(18%)、多少軽減した4%(0%)でした。
このように、生姜をとることによって痛み(腫れ)が軽くなったのは、OAの患者さんで88%(80%)、RAの患者さんで89%(77%)であり、生姜はまさに「副作用のない食べる消炎鎮痛薬」と言っても過言ではありません。

緑茶によるRAの症状緩和効果について、サウジアラビアのキング・サウード大学での研究では、10年間以上RAに悩んできた患者さんを対象に、インフリキシマブ(TFN-α阻害剤)、緑茶、運動、インフリキシマブ+緑茶、インフリキシマブ+運動、緑茶+運動の群に分けて、6ヵ月間実施しました。
その結果、米国リウマチ学会が提唱するACR70(症状の70%減少率)で評価すると、インフリキシマブ15%、緑茶45%、運動15%、インフリキシマブ+緑茶55%、インフリキシマブ+運動40%、緑茶+運動60%となりました。
米国と欧州のリウマチ学会が提唱するEULAR応答スコアで、「改善度良好」と回答した人は、インフリキシマブ45%、緑茶50%、運動45%、インフリキシマブ+緑茶55%、インフリキシマブ+運動60%、緑茶+運動75%でした。
つまり、1日4~6杯の緑茶を飲み、40~60分間の有酸素運動を週3回行うことで、RAの症状が最もよく改善することが分りました。

変形性関節症(OA)のみならず、関節リウマチ(RA)の症状を改善するには、「生姜緑茶」習慣と有酸素運動を組み合わせるのが良いと思われます。
この組み合わせはダイエット(抗肥満)にもよいので、是非、試してみてはいかがでしょう?