生姜も緑茶もダイエット(抗肥満)効果を発揮します

【要旨】生姜や緑茶には体脂肪を減らすダイエット(抗肥満)効果はありますが、急に体脂肪を減らすのではなく、おだやかに体脂肪、特に内臓脂肪を減らして行きます。ダイエットには①脂質や糖質をとり過ぎないこと、②体脂肪を肝臓や筋肉で脂肪酸に変えた状態で有酸素運動をすること、が大切です。生姜の「ジンゲロール」や蒸したり加熱したりすると増えてくる「ショウガオール」、緑茶の「カテキン(特にエピガロカテキンガレート)」や「カフェイン」の4つの成分が、①や②をサポートしてくれますので、「生姜緑茶」習慣を実行すれば、以下のエビデンス(科学的根拠)のごとく、じわじわとですが、確実にダイエット効果を発揮します。短くとも3カ月間の「生姜緑茶」習慣にトライしてみてください。有酸素運動をする30分くらい前に「生姜緑茶」をとると、ダイエット効果がぐんと高まります。

☞これまで様々なダイエット法が提案されてきましたが、そのほとんどが動物実験のみによるもの、エビデンス(科学的根拠)がなく個人の感想のみによるもの、人で効果はあるものの副作用やリバウンドが大きいもの、個人の相当な努力によるものや高額な費用を必要とするものです。

やはり、ダイエットには①脂質や糖質をとり過ぎないこと、②体脂肪は脂肪酸に変えられた上で、ごく一部は褐色脂肪細胞で燃やされますが、ほとんどは有酸素運動によって筋肉で燃やされるので、有酸素運動をすること、が重要です。

写真の中央の女性(当時28歳)は生姜湯を飲んでから有酸素運動(ウォーキング)を行うことで脂肪が燃えやすい”汗かき体質”となり、体重を113kgから53kgと、-60kgもの減量に成功しました。

ダイエットの際、生姜も緑茶も、①と②をサポートしてくれるので、そのエビデンス(科学的根拠)として、これまでに報告された動物実験や人での比較試験などの結果をご紹介いたします。 

まず、生姜も緑茶も、脂質や糖質の腸管での吸収を抑えます。 

熊本県立大学のラットを用いた研究によれば、生姜の水抽出物が膵リパーゼやαアミラーゼの作用を阻害して、腸管からの脂質や糖質の吸収を妨げます。 

米国のペンシルバニア州立大学でのマウスを用いた研究で、高脂肪食にエピガロカテキンガレート(EGCG)0.32%を加えたEGCG群と高脂肪食だけの対照群で、6週間後の体重を比較したところ、EGCG群は対照群に比べ、体重の増加が44%も抑えられました。その理由の一つとして、EGCGによる膵リパーゼの阻害をあげています。 

米国のオレゴン州立大学での試験管内実験で、緑茶のガレート型カテキンはαアミラーゼとαグルコシダーゼの両方を阻害します。 

生姜も緑茶も、体脂肪を脂肪酸に変えたり、肝臓や筋肉のミトコンドリア内に取り込まれた脂肪酸がエネルギー源として使われやすくしたりします。 

インドのK.S.ランガサミー芸術科学大学でのラットを用いた実験で、普通食のみの普通食対照群、高脂肪食のみの高脂肪食対照群、高脂肪食に1日あたりジンゲロール25mg、50mg、75mgをそれぞれ与えた高脂肪食+ジンゲロール25mg群、高脂肪食+シジンゲロール50mg群、高脂肪食+ジンゲロール75mg群、高脂肪食にロルカセリン(食欲抑制剤)10mg/日を与えた高脂肪食+ロルカセリン群に分け、30日後の肥満関連パラメータの変化を調べました。その結果、高脂肪食+ジンゲロールの各群は高脂肪食+ロルカセリン群と同様、高脂肪食対照群に比べ、血糖値、体重、レプチン抵抗性、インスリン抵抗性、アミラーゼ濃度、リパーゼ濃度が有意に減少していました。グラフは、各群における30日間の体重変化を示しており、高脂肪食でも生の生姜に多いジンゲロールを一緒にとれば体重増加(肥満)を防げることが分かります。

国立医薬品食品衛生研究所や静岡県立大学において、生姜のジンゲロールやショウガオールはカプサイシン受容体(TRPV1)を活性化し、交感神経を賦活することでノルアドレナリンの分泌を活発にして体脂肪を脂肪酸に変えて、有酸素運動により遅筋(赤筋)で脂肪酸を燃やしやすくすることが人やマウスの実験で示されています。また、ジンゲロールやショウガオールは褐色脂肪細胞で脱共役タンパク質1(UCP1)遺伝子を発現させ、有酸素運動をしなくとも一部の脂肪酸を燃やす可能性がラットを用いた実験により示されています。 

花王によるマウスを用いた研究で、生姜のジンゲロールとショウガオールは脂質代謝を制御するペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPARδ)を活性化することでエアロビック筋とも呼ばれる遅筋(赤筋)を増加させるため、生姜を食べてから有酸素運動をすると、より多くの体脂肪が遅筋でエネルギー源として消費されるそうです。 

さらにカナダのダルハウジー大学の総説によると、緑茶のエピガロカテキンガレート(EGCG)はホルモン感受性リパーゼにより体脂肪を脂肪酸に分解し、カルニチン(羊・牛・豚の赤身に多い)によるカルニチンアシルトランスフェラーゼがエネルギー生産工場であるミトコンドリアへ脂肪酸を運び、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体ガンマ1(PPARγ1)が主に肝臓や骨格筋のミトコンドリアでβ酸化関連酵素を活性化し、脂肪酸を効率よく燃やして、最終的にエネルギー消費量を高めます。 

さらに、ドイツのフライブルグ大学の研究では、緑茶抽出物がカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)という酵素活性を阻害して、ノルアドレナリンの分解を遅らせ、体脂肪の分解を長続きさせることによって、エネルギー消費量を高めるということでした。ところが、英国のビルミンガム大学の研究では、一日に緑茶抽出物1200mgとカフェイン240mgをとる緑茶群とプラセーボをとる対照群で、7日後の安静時と運動時のアドレナリンやノルアドレナリンの濃度を調べましたが、両群で有意差がなく、COMTによるエネルギー消費量のアップはあまり期待できないのでは、と述べています。

最近、アイルランド国立大学コーク校のマウスを用いた実験で、緑茶が脳内酵素ネプリライシンを増やすことによって体脂肪を減らすという新しい仮説を提示しています。このネプリライシンはアルツハイマー型認知症の原因物質の一つとされるアミロイドβペプチド(Aβ)を分解する酵素として知られています。この仮説が確かだとすれば、緑茶はダイエットにも認知症の予防にもいいということです。

では、実際に生姜や緑茶で、どの程度のダイエット効果が期待できるのでしょうか? 

イランのタブリーズ医科大学での肥満女性を対象とした研究で、12g(1g×2)の粉末生姜を12週間とり続けると、体格指数(BMI)34.3→33.8となり、デンプンの対照群(35.535.5)に比べ、有意に減少しました。 

台湾の国立陽明大学での肥満女性を対象とした研究で、高濃度カテキン茶(1日約8.7gの粉末緑茶相当)12週間とり続けると、体重が76.875.7kg、ウエストが95.192.8cmとなりました。この理由の一つとして、カテキンが食欲増進作用のあるグレリンというホルモンの分泌を抑えるためだろうと述べています。 

中国の上海ユニリーバによる中国人を対象とした研究では、1500900mgの高濃度カテキン茶(粉末緑茶3.36g相当)12週間とり続けると、体重で1.7%、ウエストで2.0%程度の効果は十分見込めるそうです。 

パキスタンのシェイク・ザイード(Sheikh Zayed)医科大学では、体格指数(BMI)が27以上で、しかも非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の患者さんを、1日あたりカテキン345mg入りのカプセル2個(粉末緑茶葉約4.6g相当)とる緑茶群と、プラシーボとして同量のセルロース入りカプセル2個をとる対照群に分け、両群での開始前と12週間後の体重や肝機能などの指標の変化を比較しています。
結果は、体重(kg)が緑茶群で86.0→80.0、対照群で84.0→85.0であり、BMIが緑茶群で29.5→27.2、対照群で29.5→30.0でした。

そのほか、肝機能のALTやAST、中性脂肪、悪玉(LDL)コレステロール、インスリン抵抗性指標(HOMA-IR)などが緑茶群で改善しました。

米国のコネチカット大学による15の論文の統合的評価(システマティック・レビュー)によると、緑茶のカテキン単独摂取やカフェイン単独摂取では、体重やウエストの減少効果は小さいが、通常のカフェインを含む緑茶(煎茶)のように、緑茶カテキンとカフェインの同時摂取は、体重やウエストの有意な減少をもたらすと述べています。たとえば、緑茶カテキンとカフェインの同時摂取はカフェイン単独摂取に比べて、体重が-1.38kg、ウエストが-1.93cmだけ、より多く減少しています。 

イランのカシュハン医科大学の過体重の女性を対象とした研究で、1日に生姜抽出物200mg、緑茶500mg、カプサイシン100mgを昼食時と夕食時に分けて8週間とり続けたサプリ群、プラシーボの対照群は、それぞれ体重が-1.8kg+0.4kgBMI-0.7+0.1となり、サプリ群では有意な減少を示しました。 

これらのことから、生姜も緑茶もダイエット(抗肥満)効果があるのは明らかですが、その程度はゆるやかであるため、36カ月くらいは「生姜緑茶」習慣を続ける必要があります。その際、脂質と糖質のとり過ぎに気を付け、できれば「生姜緑茶」をとった30分後くらいに、早歩きのような有酸素運動を3060分間行えば、リバウンドの心配がほとんどなく、満足のゆくダイエット効果が期待できます。