生姜緑茶は発ガンを食い止めたり、ガン細胞の増殖を抑えたりする!

【要旨】生姜の2大健康成分であるジンゲロールやショウガオールの抗酸化作用、抗炎症作用、抗ガン作用によって、様々な部位のガンの発生を阻止したり、増殖を抑制したりするという報告が試験管内実験や動物実験ですが、たくさんなされています。一方、緑茶にも強力な抗酸化作用や抗ガン作用があり、生姜と同様、様々な部位のガンの発生を阻止したり、増殖を抑制したりします。そして、喫煙者は特に肺ガンが心配ですが、緑茶の常飲によって発ガンのリスクが下がるようなので、喫煙者やその周囲の人の「生姜緑茶」習慣は必須のものと考えます。ガン化ないし増殖する前の早めの「生姜緑茶」習慣は多くの部位のガンに対し、ほとんど副作用なしに、かなりの予防効果を発揮するものと思われます。     

日本人の死因第1位はガンです。部位別にかかりやすいガンは、男性では①前立腺ガン、②胃ガン、③肺ガン、女性では①乳ガン、②大腸ガン、③肺ガンです。そして、死亡しやすいガンは、男性では①肺ガン、②胃ガン、③大腸ガン、女性では①大腸ガン、②肺ガン、③すい臓ガンです。

生姜のジンゲロールやショウガオールは様々な部位のガンの発生を阻止したり、進行を抑えたりするという報告が多数なされていますので、そのいくつかの例を紹介しましょう。

生姜による大腸ガンの予防効果については多くの研究報告があります。たとえば、米国のミシガン大学では、30人のボランティアを対象に、1日に生姜エキス2g(生の生姜20g相当)を28日間とり続ける生姜群と乳糖をとり続けるプラシーボ群に分け、大腸のエイコサノイド(脂肪酸の代謝物質で炎症の原因となる物質)レベルを比較しています。その結果、生姜群で大腸内のエイコサノイドレベルが有意に下がることから、生姜は大腸において抗炎症効果を発揮し、大腸ガンを遠ざけることが期待できます。

さらに、ミシガン大学での研究では、大腸ガンのリスクが高い20人を対象に、1日に生姜エキス2gを28日間とり続けてもらったところ、大腸の悪性ポリープや前ガン病変(異形成)の進行が抑えられました。これは生姜が炎症やガン細胞の増殖に関与するCOX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)の発現を抑えたり、免疫機能を高めたり、発ガン物質を排出するのを妨げる酵素(β-グルクロニダーゼなど)を減らしたり、ガン細胞への血管新生をブロックしたりする働きがあるためと考えられています。

生姜による前立腺ガン予防効果についても多くの研究報告があります。米国のテキサス大学オースチン校での試験管内実験で、生姜の「ショウガオール」が抗炎症効果と抗ガン効果を発揮して前立腺ガンの予防や進行抑制に役立つとしています。一方、米国のジョージア州立大学での試験管内実験では特に「ジンゲロール」が前立腺ガンの増殖抑制作用を高めるそうです。つまり、ショウガオールもジンゲロールも前立腺ガンの予防に役立つということです。

米国のノースカロライナ・セントラル大学での試験管内実験では、ヒト肺ガン細胞やヒト大腸ガン細胞ではジンゲロールよりもショウガオールのほうが、ガン細胞増殖抑制効果が高く、炎症を増悪させるアラキドン酸や一酸化窒素の産生を阻害する効果も高かったそうです。

生姜による乳ガン予防効果について、インドの国立ラジーブ・ガンディー生物工学センターでの試験管内実験で、ヒト乳ガン細胞において、ショウガオールがノッチ・シグナルを阻害して球状体ガン細胞群を破壊し、アポトーシス(ガン細胞の自死)に至らせたり、破壊された球状体ガン細胞や単層ガン細胞をオートファジー(自食作用)へと誘導しアポトーシスに至らせるか、または直接ガン細胞を死滅させるそうです(図参照)。

生姜による肺ガン予防効果について、肺ガンで多いのが非小細胞肺ガン(腺ガン・扁平上皮ガン・大細胞ガン)ですが、この非小細胞肺ガンの増殖抑制にはショウガオールが有効なようです。米国のミネソタ大学での試験管内実験で、ガン細胞はAktというシグナル伝達系酵素を活性化させてアポトーシスを逃れ増殖しようとしますが、ショウガオールはこのAktの活性を抑えてアポトーシスへと誘導し、増殖を抑えるということです。

生姜のジンゲロールやショウガオールで発ガン阻止ならびに増殖抑制効果が期待できる部位別ガンは、主に試験管内試験や動物実験の結果ですが、大腸ガン、前立腺ガン、乳ガン、肺ガン、胃ガン、肝臓ガン、子宮体ガン、卵巣ガン、すい臓ガン、胆管ガン、皮膚ガン、腎臓ガン、白血病、神経芽細胞腫です。

緑茶も生姜に勝るとも劣らない抗ガン効果が期待できます。特に、緑茶は日本をはじめ、主にアジア各地でもよく飲まれているため、特定のヒト集団を対象とした疫学調査の結果の報告が多数ありますので、そのいくつかの例を紹介しましょう。

緑茶による胃ガン予防効果について、国立がんセンターによる11の論文の統合評価(システマティック・レビュー)で、緑茶を1日に5杯以上飲む女性は1杯未満の女性に比べ、胃ガンのリスクが0.79倍、すなわち2割ほど低いことがわかりました。

緑茶による前立腺ガン予防効果について、国立がんセンター主導の多目的特定集団研究で、緑茶を1日に5杯以上飲む男性は1杯未満(ほとんど飲まない)の男性に比べ、転移する可能性が高い「進行性前立腺ガン」のリスクが0.52倍であり、約半分でした。

緑茶による乳ガン予防効果について、中国の天津医科大学による、中国人女性を対象とした39の論文の統合評価では、お茶を常飲する女性は、しない女性に比べ、乳ガンのリスクが0.79倍、すなわち2割ほど低いことがわかりました。米国のハーバード大学やミネソタ大学の研究でも、緑茶は乳ガンのリスクをそれぞれ0.73倍、0.78倍に下げます。つまり、緑茶の常飲は乳ガンのリスクを21~27%も減らします。

緑茶のエピガロカテキンガレート(EGCG)の抗ガン作用は、九州大学の研究によれば、エピガロカテキンガレート(EGCG)がガン細胞の表面に特徴的に現れる67-kDaラミニンレセプター(67LR)という受容体を介してガン細胞に働きかけ、ガン細胞にアポトーシスを促したり、ガン細胞の増殖を阻害するためだそうです(図参照)。

緑茶のカテキンパワーで発ガン阻止ならびに増殖抑制効果が期待できる部位別ガンは主に試験管内実験や動物実験の結果ですが、前立腺ガン、肺ガン、大腸ガン、肝臓ガン、すい臓ガン、乳ガン、子宮体ガン&子宮頸ガン、卵巣ガン、口腔ガン、食道ガン、胃ガン、皮膚ガンです。ただし、食道ガンと胃ガンはぬるめの緑茶で、女性のみ効果が期待できます。熱い緑茶は食道や胃に炎症を起こし、食道ガンや胃ガンのリスクを高めてしまうおそれがあります。

喫煙者に朗報があります。それは、緑茶の常飲は喫煙によるガンのリスクを下げるというのです。米国のアリゾナ大学でのヘビースモーカーの人を対象とした比較試験で、緑茶を1日4杯、4ヶ月間常飲すると、フリーラジカル(広義の活性酸素)による発ガンのリスクを表す尿中8-OHdG値(細胞内DNA酸化ダメージ度)が有意に下がることがわかりました。紅茶や水では有意な低下はみられませんでした。最近、男女とも肺ガンにかかる人や亡くなる人が非常に多くなってきていますが、肺ガンを含めガン予防に最も効果的なのは何といっても「禁煙」と「受動喫煙の回避」です。その次に「生姜緑茶」の常飲だと思います。

最後に、生姜緑茶によるガン予防に際し、注意していただきたいことがあります。それは、生の生姜やふつうに乾燥した生姜にはジンゲロールは多く含まれていますが、ショウガオールはあまり含まれていません。そこで、生の生姜を加熱したり、蒸したり、茹でたり(汁までとること)して、できるだけショウガオールを増やしたものをとる必要があること。また、緑茶(煎茶)のカテキンは80℃を超える温度では徐々にカテキンが変質してしまい、本来の機能を発揮できなくなってしまうおそれがあること、です。