生姜緑茶はなぜ糖尿病を遠ざけるのか?

【要旨】生姜も緑茶も身近で安価で手に入る食材ですが、これらは糖尿病対策にはもってこいのクスリと同レベルの高機能食材です。いずれも筋肉、脂肪、肝臓などの細胞でインスリンが正常に働かなくなった状態、すなわち「インスリン抵抗性」の改善と、すい臓での「インスリン分泌」の促進に効果があります。そのため、生姜緑茶は高めの血糖値を下げたり、糖尿病の合併症を遠ざけたりします。1日3~6杯の「生姜緑茶」を食後に飲むよりも、食前(食事の直前)に飲んだ方が糖尿病予防の観点からは効果が大きいといえます。

厚労省の2012年の国民健康・栄養調査報告によると、糖尿病が強く疑われる人約950万人、糖尿病の可能性を否定できない「糖尿病予備群」も合わせると約2,050万人になります。 

その多くは2型糖尿病で、その原因として生活環境の急速な欧米化(ファストフードやカロリーの過剰摂取、運動不足など)や高齢化などが考えられます。 

糖尿病はほとんど自覚症状がなく、そのままにしておくと、血管が弱って詰まったり破れたり、目が見えなくなったり、腎臓が弱ったりと、様々な病気の元になります。 

そんな糖尿病に対して最強クラスの食材が「生姜」です。 

イランのテヘラン医科大学では、2型糖尿病患者を対象に、12gの粉末生姜を12週間とり続ける生姜群と12gの乳糖をとり続けるプラシーボ(ニセのクスリ)群で空腹時血糖(FBS)値やヘモグロビンA1c(HbA1c)値の変化を調べました。その結果、生姜群はFBS162142mg/dlHbA1c7.46.6%となり、有意に低下しましたが、プラシーボ群ではFBSが155157mg/dlHbA1c7.37.3%でした。 

イランのイスラーム自由大学において、糖尿病のラットを用いて、生姜とグリベンクラミド(糖尿病薬)30日間投与による抗酸化作用等の変化を調べました。その結果、抗酸化作用はグリベンクラミドよりも生姜の方が高く、血糖値の低下度は生姜が43%減、グリベンクラミドが46%減でほぼ同等でしたが、体重の増加度は生姜が0%、グリベンクラミドが12%増で、グリベンクラミドは体重増加を伴いやすいことがわかりました。 

ナイジェリアのアクレ連邦技術大学での試験管内実験(in vitro)で、生姜はαアミラーゼ阻害作用やα‐グルコシダーゼ阻害作用を有し、これらの作用でデンプンを小腸で吸収できる単糖類にまで分解するのを阻害するため、食後高血糖を軽減して糖尿病を予防する可能性があります。 

生姜のジンゲロールがグルコース輸送体-4(GLUT-4)を活性化させ、筋肉や脂肪組織および肝臓の細胞内へのブドウ糖(グルコース)の取り込みをスムーズにさせて「インスリン抵抗性」を改善し、さらに生姜のジンゲロールとショウガオールの両方の抗酸化作用と抗炎症作用によってすい臓のランゲルハンス島でのインスリン分泌機能を高めると考えられています。 

中国の中国農業大学での総説で、生姜が肥満や糖尿病などのメタボリック症候群に対し、どのような効果を示すかについて、のようなラットのイラストを用いて解説しています。

 一方、「緑茶」の糖尿病予防効果も半端ではありません。 

中国の第三軍医大学が行った17論文の統合評価(システマティック・レビュー)では、110杯の緑茶は空腹時血糖(FBS)値を16.2mg/dl、ヘモグロビンA1c(HbA1c)値を0.3%下げると結論づけています。 

静岡県立大学では、血糖値が高めの糖尿病予備群を対象に、1日に粉末緑茶約3g(カテキン456mg含有)2ヵ月飲む緑茶群と飲まない群でヘモグロビンA1c(HbA1c)値の変化を調べました。その結果、緑茶群では6.25.9%になりましたが、飲まない群では変化が見られませんでした。157杯の緑茶を飲む習慣は糖尿病予備群の高血糖状態を改善することが明らかになりました。 

米国のオレゴン州立大学による研究では、緑茶のエピガロカテキンガレート(EGCGEGCG)とエピカテキンガレート(ECG)の「ガレート型」成分が、小腸での糖質の分解・吸収を遅らせて血糖値の急上昇(血糖値スパイク)を抑えることを明らかにしています。 

スウェーデンのカロリンスカ研究所でのマウスを用いた実験で、10週間通常食だけ与えたコントロール群と通常食にエピガロカテキンガレート(EGCG)を与えた群と通常食にロジグリタゾン(インスリン抵抗性改善薬)を与えた群で耐糖能(ブドウ糖が与えられた時、血糖値を一定に保つ調節能力)やすい臓のランゲルハンス島の解剖所見を比較した結果、EGCGは生姜と同様に、「インスリン抵抗性」を改善するとともに、すい臓での「インスリン分泌機能」を高めることを明らかにしています。