【第81節】「痛み止め」には生姜が効く!

【要旨】生姜は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と同等の消炎・鎮痛作用を発揮し、しかも胃腸の粘膜を荒らさないという利点があります。そのため、人を対象とした研究で効果が示されている機能性月経困難症、普通型偏頭痛、筋肉痛、変形性関節症などによる痛みや月経前症候群(PMS)の諸症状の緩和には、生姜の摂取をおすすめします。
 頭痛、生理痛などの強い痛みがあるとき、NSAIDs(エヌセイズ;非ステロイド性抗炎症薬)を使っていませんか?
 NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害することによって、炎症や痛みなどを引き起こすプロスタグランジン(PG)というホルモンの生成を抑える、いわゆる消炎・鎮痛・解熱作用を有する薬の総称です。
 ただし、COXには2種類あって、胃腸の粘膜を保護するCOX-1と、炎症を起こした細胞で炎症反応を増強させるCOX-2です。
 ところが、多くのNSAIDsはCOX-2だけでなく、COX-1も阻害してしまうため、胃腸の粘膜保護作用が抑えられてしまい、胃腸の調子を悪くしてしまいます。
 このように胃腸への副作用の強いNSAIDsですが、生姜はNSAIDsと同じくらい痛みを緩和し、しかも副作用がほとんどない優れた消炎・鎮痛食材ということをご存知でしたでしょうか?
 たとえば、イランでの人を対象とした研究(J Altern Complement Med, 2009)では、機能性月経困難症(子宮筋腫や子宮内膜症といった器質的な異常がないにもかかわらず日常生活に支障をきたすほどの生理痛)を有する女性150人を、①生姜群、②メフェナム酸群、③イブプロフェン群に分け、生理痛の開始日から3日間、1日あたり①生姜群には生姜粉末250mg×4回、②メフェナム酸群にはメフェナム酸(商品名ポンタール)250mg、③イブプロフェン群にはイブプロフェン(商品名ブルフェン)400mgを摂ってもらいました。
 その結果、生理痛が緩和された人の割合は、①生姜群62%、②メフェナム酸群66%、③イブプロフェン群66%で、ほぼ同等した。逆に生理痛が悪化した人の割合は、①生姜群8%、②メフェナム酸群8%、③イブプロフェン群6%で、これもほぼ同等でした。
 このように、生姜の消炎・鎮痛作用はほぼNSAIDsと同等であり、しかも胃腸の粘膜を荒らすような副作用もありません。
 それどころか、鳥取大学医学部での動物実験(Yonago Acta Med, 2011)ですが、胃粘膜を切開した写真の左から3番目のように、ラットにCOX-1を阻害する作用の強いアスピリン(200mg/kg体重)を摂取させると胃粘膜に潰瘍を生じましたが、左から4番目のようにアスピリンと一緒に生姜粉末(200mg/kg体重)を摂取させると、潰瘍は生じませんでした。
 このように、生姜のCOX-1阻害作用はCOX-2阻害作用の10分の1程度と非常に弱く、胃腸粘膜を荒らすどころか、誘導性一酸化窒素合成酵素の活性や炎症性サイトカインの生成を抑えて胃腸粘膜を保護し、消化を促進する健胃作用もあります。 凄いぞ!GINGER
 生姜による機能性月経困難症の緩和効果について、韓国でのシステマティックレビュー(メタ分析という手法によって複数の関連論文を総合的に評価したもの)という、かなり信頼性が高い論文(Pain Med, 2015)によると、月経開始日から3~4日間、1日あたり生姜粉末を0.75g~2gを摂り続けると、重い生理痛が緩和されると述べています。
 とにかく、機能性月経困難症には、ジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、ロキソプロフェンナトリウム(商品名ロキソニン)、イブプロフェン(商品名ブルフェン)、アスピリン(商品名バファリン)といった多少なりとも胃腸粘膜を荒らすおそれのあるNSAIDsのかわりに、一度、生姜を試しみてください。
 また、イランでの人を対象とした比較研究(ISRN Obstet Gynecol, 2014)で、月経(生理)前になるとつらい症状が現れる月経前症候群(PMS)の精神的症状も身体的症状も行動的症状も生姜でかなり緩和されることが明らかになりました。
 生姜は機能性月経困難症や月経前症候群のほか、普通型偏頭痛、筋肉痛、変形性関節症などによる痛みの緩和にも効果が期待できます。
 その際、生姜による消炎・鎮痛作用は生に多いジンゲロールよりも、蒸したり加熱したりすると増えてくるショウガオールの方が強いので、①蒸した生姜粉末を用いるか、②生の生姜を数枚スライスして、それを熱湯の入った500mlの保温ポットに入れ、3時間以上経った「生姜白湯」を用いることをおすすめします。
 NSAIDsは食後に服用しますが、生姜は食前にとったほうが痛み止め効果は高まります。
 おまけに、ココアに多く含まれている苦い味のテオブロミンは自律神経を整えてリラックスさせてくれますし、マグネシウムは月経前症候群(PMS)のイライラを解消するのに役立ちます。
 特に「生姜ココア」習慣は腹部を中心に、カラダ全体の血流を良くしてカラダ全体を温めるので、体調を整えたり体質を改善したりして、病気になりにくいカラダにしてくれます。