【第46節】関節リウマチの予防や症状緩和に効果的な食材は?

  関節リウマチ(RA; Rheumatoid Arthritis)は免疫細胞が関節部の滑膜を異物として攻撃してしまう自己免疫疾患で、滑膜が炎症を起こしてヒダ状に増殖し、大量の炎症物質を関節内部に放出し、骨や軟骨が破壊されてしまう病気です。
  関節リウマチの特徴的な症状は関節の痛みや炎症性の腫れならびに朝の関節のこわばりなどで、好発部位は左右両方の手首や指の関節です。
  関節リウマチは男性に比べ女性のほうが3~4倍多く、発症年齢は30~40代がピークで、現在、およそ70万人の患者さんがいます。
  印象派の巨匠ルノアールは、左下の写真の左手を見ると分かるように、関節リウマチを患いながらも、かの有名な「ピアノに寄る娘たち」を描いています。
  関節リウマチとよく似た病気に変形性関節症(OA; Osteoarthritis)があります。
  これは機械の軸受部のグリース切れのように、関節面を滑らかにする関節軟骨が弾力性を失って関節が変形し、関節機能が悪くなる非炎症性の病気で、日常的に大きな物理的負荷がかかる膝関節と股関節に多くみられ、現在およそ700万人の患者さんがいます。
  今回は、『関節リウマチ』の予防や症状緩和に役立つ食材が学術論文で見つかりましたのでご紹介いたします。
  そもそも、関節リウマチの炎症はアラキドン酸からつくられるプロスタグランジン(PG-E2)が引き起こすため、リノール酸やアラキドン酸の摂取ならびにプロスタグランジン(PG-E2)の産生を抑えれば、関節リウマチの予防ないし症状緩和につながります。
  その候補食材として、エキストラバージンオリーブオイルや魚の脂(EPA&DHA)があげられ、これらはアラキドン酸と構造がよく似ているため、体内のアラキドン酸と置き換わり、プロスタグランジンの産生量を減らすため、炎症が軽減されのです。
  また、生のしょうが(生姜)を加熱すると増えてくるショウガオールはプロスタグランジン(PGE2)の産生を促す酵素、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の活性を下げて炎症を抑える働きがあります。
  デンマークのオデンセ大学(現在は南デンマーク大学)地域保健研究所のSrivastava氏らによる調査(Med Hypotheses 1992;39(4):342-8)で、生のしょうが(生姜)20g/日または粉末しょうが(生姜)1~3g/日を関節リウマチの患者さん28名、変形性関節症の患者さん18名に数ヶ月間摂ってもらいました。
  その結果、関節リウマチの痛みが著しく緩和された人は74%、不変だった人は11%で、変形性関節症の痛みが著しく緩和された人は55%、不変だった人は12%でした。
  ブラジルのロンドリナ州立大学医学部のBerbert氏らのランダム化比較試験(Nutrition 2005;21:131-136)では、被験者43人を、1)大豆油(マヨネーズやマーガリンの原料)摂取群、2)魚の脂(3g/日)摂取群、3)魚の脂(3g/日)とオリーブオイル9.6ml/日摂取群に分けて、3ヶ月ないし6ヶ月間での関節リウマチの症状の変化を調べました。
  その結果、魚の脂(3g/日)とオリーブオイル9.6ml/日摂取群が関節の痛み、握力、”朝のこわばり”、疲労感などの症状において最も効果が高いことが分かりました。
  ギリシャのアテネ医科大学のLinos氏らの症例対照研究(Am J Clin Nutr 1999;70(6):1077-82)では、関節リウマチの患者さん145人、健常者188人を対象に、日常の食事内容を質問表で調べました。
  その結果、他の食品の影響を取り除いた後、関節リウマチを起こしにくい食品としてノミネートされたのがオリーブオイル(オッズ比0.38=オリーブオイルを摂ると摂らない場合に比べ発症リスクが62%も減ること)と調理した野菜(オッズ比0.24)でした。
  ニューヨーク州にあるコロンビア大学医療センターのScarmeas氏らのコホート研究(Arh Neurol 2010;67(6):On-line)では、アルツハイマー型認知症でない高齢者2,148人を対象に、3.9年間における食事内容とアルツハイマー型認知症の発症との関係について調べました。
  その結果、アルツハイマー型認知症になりにくい人は、サラダドレッシング(オリーブオイルなど)、ナッツ類、魚介類、トマト、鶏肉、アブラナ科野菜、果物、緑黄色野菜の摂取量が多く、逆に高脂肪乳製品、赤身肉(牛肉・豚肉など)、内臓肉、バターの摂取量が少ないことが分かりました。
  これらをまとめると、一日あたり大体、エキストラバージンオリーブオイル10ml、魚の脂3g、生のしょうが(生姜)10~20g(粉末しょうが1~3g)に加えて、できるだけ野菜やナッツ類や果物を食べると、関節リウマチの予防や症状緩和に役立つと考えられます。
  その際に以下の3項目にご留意ください。
  1)関節リウマチの予防や症状緩和には炎症を促進しやすいn-6系不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸(動物性脂肪)の摂取量をやや少なくし、その分、一価不飽和脂肪酸やn-3系不飽和脂肪酸の摂取量をやや多めにすること。
  2)n-3系不飽和脂肪酸は酸素に触れると酸化しやすいため、開栓後は早めに使い切り、また青魚もできるだけ干物でない新鮮なものを食べるようにすること。
  3)グルコサミンやコンドロイチンは変形性関節症には効果があるというというエビデンス(科学的根拠)があるが、関節リウマチに対してはほとんどエビデンスがないこと。