【第45節】しょうが(生姜)や赤ぶどうに加え、あざみ(薊)の抗酸化成分も認知症を抑える可能性あり!

  肝臓保護作用をもつ食材といえば,日本では鬱金(うこん)ですが,欧米では薊(あざみ)のほうがよく知られています。
  薊(あざみ)の一種のマリアアザミ(Milk thistle)の実に含まれる成分シリマリン(silymarin)に慢性肝炎や肝硬変に対する肝機能修復作用があります。
  シリマリンはⅠ型アレルギーの悪の元凶、免疫グロブリンE抗体の産生を抑えたり、マスト細胞の活性化を抑えたり、アトピー性皮膚炎の症状を緩和したりする働きもあります。
  マリアアザミの成分シリマリンには、右のTV画面に示す花粉症予防のほか、生姜のショウガオールや赤ぶどうのレスベラトロールと同様、その抗酸化物質によってアルツハイマー型の認知症を予防したり、進行を遅らせたりする可能性がマウスを用いた基礎研究で分かってきました。
  名城大学薬学部の鍋島俊隆氏らの研究(Br J Pharmacol 2009; 157(7): 1270-7)では、マウスを用いた実験から、様々な活性酸素種(Reactive Oxygen Species;ROS)による酸化ストレスによって、アミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積すると、認知機能に異常をきたすという仮説を立てました。
  この仮説を検証するために、神経細胞毒が強いアミロイドβ25-35(Aβ25-35)を脳内に注入し、Aβ25-35の蓄積によって認知機能障害を起こしたマウスに対し、異なる濃度のシリマリン(正確にはシリビニン)を経口投与し、その後の認知機能の変化を調べました。
  いくつかの認知機能テストの評価指標から総合的に判断すると、シリビニンの投与によってAβ25-35による記憶障害が抑制されることが分かりました。
  したがって、マリアアザミの成分シリビニンが酸化ストレスによって発生したAβ25-35による認知機能の障害を抑え,主にアルツハイマー型の認知症の予防に役立つ可能性が示唆されました。
  同氏らは別の研究(J Pharmacol Exp Ther 2009; 331(1): 319-26)で、Aβ25-35は海馬や扁桃体などで誘導性一酸化窒素生成酵素(iNOS)や腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の過剰発現を促進し、脳神経細胞に炎症を起こして、記憶機能ならびに不安や恐怖などの感情機能を低下させます。
  しかし、シリビニンを投与すると脳神経細胞などの炎症を防ぎ、記憶機能や感情機能などの認知機能が低下するのを防ぐことができると述べています。
  たとえば、右上図のように、恐怖条件付け文脈学習課題に対し、脳内に投与したシリビニンの濃度が高いほど、すくみ反応時間が長くなり、電気ショックによる痛みに対して恐怖記憶を形成し、ほぼ正常な反応時間にもどります。
  このように、マリアアザミの成分シリマリンは生姜の辛味成分ジンゲロールや赤ぶどうに多く含まれるレスベラトロールと同様に、その抗酸化作用によって、さまざまなROSによる酸化ストレスを抑制することによって、認知機能の低下を防ぐものと考えられます。
  生姜の成分ジンゲロール、赤ぶどうの成分レスベラトロール、薊の成分シリマリン(厳密にはシリビニン)が入った『すっきりジンジャー』(左の写真)は、花粉症の人やハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎の人にはもちろん、アルツハイマー型認知症を含めた認知症の予防や進行抑制にも役立つ可能性がでてきました。