【第30節】新発見!しょうが(生姜)の抗酸化作用、消炎・鎮痛効果、抗腫瘍効果はジンゲロールよりもショウガオールのほうが強力

  生活習慣病をはじめとする現代病の原因のおよそ90%に過剰な活性酸素が関与しているといわれています。
  私たちが毎日吸っている空気はその約21%が酸素で、体の中で栄養素と結びついてエネルギーを作り出します。
  ところが、体内に入った酸素の2~3%は酸化して活性酸素(active oxygen)となり、核酸・タンパク質・脂質などの細胞構成成分を錆びついた状態にしてしまいます。
  細胞構成成分が錆びついてしまうと、その正常な働きが失われ、糖尿病、ガン、動脈硬化などの生活習慣病や、肌のシミ、しわや白髪などの原因にもなります。
  抗酸化作用(antioxidant effect)とは体内の細胞構成成分の酸化を抑えて錆びつかせないようにすることで、それには活性酸素(フリーラジカルより広い意味での悪玉酸素)を取り除く必要があります。
  活性酸素は加齢によって発生量が増えてきますが、右図のように、不規則な生活習慣、タバコ、電磁波(含.紫外線)、肥満、ストレス、過激な運動、食品添加物や環境汚染物質といった有害化学物質などによっても増加します。
  この活性酸素の攻撃から体を守る働きをする物質のことを抗酸化物質(scavenger)といい、それには体内でつくられる抗酸化酵素(スーパーオキシド・ジスムターゼ, グルタチオン・ペルオキシダーゼ, カタラーゼ)のほか、抗酸化ビタミン(βカロテン, ビタミンC, ビタミンE等)、植物活性化学栄養素(ジンゲロール, ショウガオール, カテキン、リコピン等)などがあります。
  では、ショウガの主要成分であるジンゲロール(gingerol)とショウガオール(shogaol)では、どちらが抗酸化作用や消炎・鎮痛効果などに優れているのでしょうか?
  インド(アンドラプラデシュ州)にあるアンドラ大学薬学部のDugasani氏らの培養実験(J Ethnopharmacol 2009;On-line)によると、総合的な抗酸化能(anti-oxidant effect)は、6-ショウガオール>10-ジンゲロール>8-ジンゲロール>6-ジンゲロールの順で、いずれもきれいな濃度-効果曲線となっています。
  たとえば、6-ショウガオールの活性酸素消去能は6-ジンゲロールの3.3倍、ビタミンEの3.4倍でした。
  このように、生ショウガを加熱することによって6-ジンゲロールの一部を6-ショウガオールに変えると、抗酸化能がより高まります。
  したがって、秋から春にかけては是非、加熱したショウガをとるようにすると体も温まり、免疫力も高まり、さらに活性酸素の害を防ぐ効果も高まります。
  一方、細菌やウィルスなどの病原体を攻撃し、それを撃破する役割のマクロファージや好中球の中で、ジンゲロールやショウガオールは核因子カッパB(nuclear factor-kappa B; NF-κB)という核転写因子(遺伝子のスイッチを入れるタンパク質)の活性を抑えることによって、炎症やがん化を加速させてしまう誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)やシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の合成を抑え、急性ないし慢性の炎症を防ぐ働きをします。
  マクロファージや好中球の中で、iNOSが合成されると、一酸化窒素(NO)というフリーラジカルが産生され、炎症反応を増幅させてしまいますが、ショウガの主要成分のNO産生抑制効果は6-ショウガオール>8-ジンゲロール>10-ジンゲロール>6-ジンゲロールの順でした。
  また、マクロファージや好中球の中で、COX-2が合成されると、プロスタグランジン-E2(PG-E2)をつくりだし、炎症反応を増幅させてしまいますが、ショウガの主要成分のPG-E2産生抑制効果は6-ショウガオール>8-ジンゲロール>10-ジンゲロール>6-ジンゲロールの順でした。
  さらに、ニュージャージー州にあるラトガー大学薬学部のSang氏らの培養実験(J Agric Food Chem 2009;57(22):10645-50)によると、ヒトの大腸ガン細胞や肺ガン細胞において、やはり6-ショウガオールのほうが6-ジンゲロールよりも18倍ほど強力にNF-κBの活性化を抑え、ガン化した細胞の増殖を拒みつつ、アポトーシス(細胞の自滅)感受性を高めて、ガン細胞を消滅の方向に誘導します。
  このように、抗酸化作用、NO産生抑制ならびにPG-E2産生抑制による消炎・鎮痛効果ならびに抗腫瘍効果を期待してショウガをとる場合には、生ショウガよりも、加熱したショウガを摂ったほうが効果的と考えられます。