【第28節】花粉症の季節にはしっかり、しょうが(生姜)の醤油漬けを食べましょう!

  花粉症(Pollinosis)の人にとっては、下図のように、毎年、早い所で二月上旬から、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目・鼻・喉の痒みなどで苦しむ季節がやってきます。
  花粉症の人は日本国民全体の約20%といわれ、ざっと2,500万人、またダニなどによる通年性アレルギー鼻炎(Allergic asthema)の人は1,500万人と推測されています。
  これらのアレルギー疾患の増加の原因としては、花粉やダニなどのアレルギーを引き起こす抗原(Allergen)の増加と寄生虫の減少、生活環境における抗菌商品や抗生物質などの多用ならびにディーゼル排ガスなどの環境汚染物質の増加によるアレルギー体質化などが考えられます。
  本来、人体には異物の進入を排除する免疫機能が備わっているのですが、無害なはずの花粉を異物として認識してしまうために生じるアレルギー症状が花粉症です。
  花粉症(即時型のI型アレルギー)の発症メカニズムは、右図のように、まずスギやヒノキなどの花粉が鼻などの粘膜に付着すると、見張り番(抗原提示細胞)のマクロファージや樹状細胞が花粉(抗原)を捕まえて、それが異物と判断されると、その情報から2型ヘルパーT細胞(Th2)が量産され、Th2がインターロイキン4(IL-4)を分泌してその情報をB細胞に伝えると、B細胞は花粉に対する免疫グロブリンE(IgE) 抗体を多量につくり始めます。
  そして、IgE抗体が目や鼻や喉の粘膜に多く存在する肥満細胞(マスト細胞ともいう)に付着すると肥満細胞がどんどん肥大化し、新たに侵入してきた花粉と大量に増えたIgE抗体が次々と結合し、とうとう肥満細胞や好塩基球からヒスタミン(Histamine)やロイコトリエン(Leukotriene)やプロスタグランジン(Prostaglandin)などの化学伝達物質(chemical mediators)が粘膜に大量放出され、様々な花粉症症状を引き起こします。
  ヒスタミンは鼻の近くを通る知覚神経(三叉神経)や分泌中枢や痒み神経を刺激するため、くしゃみや鼻水や痒みなどの症状を引き起こします。
  一方、ロイコトリエンは粘膜血管を拡張したり、血管の透過性を亢進したりして、粘膜を腫れ上がらせて鼻づまりなどの症状を引き起こします。
  また、アレルギー反応によって肥満細胞から、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)などの炎症性物質が放出されるとプロスタグランジンが炎症や痛みを引き起こします。
  このような花粉症の予防には、マスクやゴーグルの装着、うがいや手洗いの励行、花粉除去スプレーなどが有効です。
  また、花粉症の症状を抑えるには、内科、耳鼻科、眼科での治療、医薬品、サプリメントなどが有効です。
  たとえば、医薬品やサプリメントには、IgE 抗体の産生を抑えるもの、ヒスタミンやロイコトリエンの働きを抑えるもの、消炎・鎮痛作用によって腫れや痛みを抑えるもの、悪化した腸内環境(免疫細胞バランス)を改善するもの、などがあります。
  以前、ショウガを常用している人から、ショウガを摂っていると膝の関節痛のほか、花粉症による喉の痛みがかなり軽減し、目の赤みや痒みも良くなったという話を聴いたことがあります。
  ショウガ抽出物にはシクロオキシゲナーゼ経路とリポオキシゲナーゼ経路を遮断して、アレルギー、関節炎、発ガンなどの引き金となるプロスタグランジンやロイコトリエンといった炎症促進物質の生成を抑える働きがあります。
  炎症を引起こす黒幕的存在のTNF-αがIgE抗体の産生を促す役割を果たしていることから、TNF-αを抑えればIgE抗体も少なくなると考えられます。
  農業・食品産業技術総合研究機構・野菜茶業研究所の山本万里氏らの研究(Cytotechnogoloy 2007;55:135-42)によれば、下図のように、べにふうき茶のTNF-α抑制率は約40%ですが、ショウガエキスのTNF-α抑制率は何と約70%もあり、べにふうき茶よりもショウガのほうがTNF-α活性阻害作用が強いことが分かります。
  したがって、ショウガは転写因子NF-κBを介してTNF-αをかなり抑え、IgE抗体の産生を少なくするとともに、プロスタグランジンやロイコトリエンを抑えて、鼻や喉の腫れや痛み、目の赤みや痛み、鼻づまりなどを抑えると考えられます。
  また、一つの仮説として、免疫系の前線司令官の役割を果たしているヘルパーT細胞のサブタイプ、1型(Th1)と2型(Th2)のバランスが大事で、Th1とTh2の比率がTh2側に傾き過ぎると、B細胞がIgE抗体を大量につくってしまい、花粉症を発症しやすくなるといわれています。
  このTh1とTh2のバランスをうまくとって花粉症を起こしにくくする身近なものとして醤油や乳酸菌などがあります。
  ヒガシマル醤油(株)の小林万木夫氏の総説(J Bioscie Bioeng 2005;100(2):144-51)によると、醤油には醤油多糖類(Shoyu polysaccharides; SPS)が約1%含まれており、このSPSがTh2側に傾きすぎているヘルパーT細胞のバランスをうまくとることによって、花粉症や通年性アレルギーの諸症状を緩和するそうです。
  大阪大学医学部耳鼻咽喉科の田村学氏らによるランダム化比較試験(Int Arch Allergy Immunol 2007;143(1):75-82)によると、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(LcS)を含む発酵乳では、花粉症の症状を緩和する効果はあまり期待できませんが、症状の発現を多少遅らせることはできるようです。
  たとえば、外出時にはマスクを付け、食品として生姜の醤油漬けや生姜紅茶などを摂ると、花粉症やアレルギー性鼻炎の症状が緩和されます。
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