【第27節】関節リウマチにも“しょうが”が効くって本当ですか?

  関節リウマチ(Rheumatoid arthritis; RA)は、免疫システムの誤作動によって、自分自身の正常な細胞や組織が免疫システムの過剰な攻撃を受けてしまう、いわゆる「自己免疫疾患」と呼ばれる病気の一つで、遺伝的な要因が30%、環境的な要因が70%くらい関係しています。
  RAを患っている人は、日本人の約0.8%(約100万人)で、男女比は1対4で圧倒的に女性に多く、右図のように、30~50歳代での発病が多く、40歳代にピークがあります。
  RAの初期症状は、関節症状と全身症状で、関節症状は朝起きた時、主に手や足の指の付け根部分の関節の腫れやこわばり、全身症状は微熱やだるさ、あるいは体重減少などです。
  RAは、下図の膝関節で示すように、関節を構成している滑膜[カツマク]に炎症が起きて、ヒアルロン酸などの潤滑成分を関節内部に分泌できなくなるとともに、マクロファージ(白血球の一種)から炎症を引き起こす黒幕的存在の腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症性サイトカインが持続的かつ過剰に放出されるため、その炎症によって関節の痛みや腫れを起こし、次第に関節部分の軟骨や骨の破壊や変形をもたらします。
  しょうが抽出物にはシクロオキシゲナーゼ経路とリポオキシゲナーゼ経路を遮断して、アレルギー、関節炎、発ガンなどの引き金となるプロスタグランジンE2やロイコトリエンB4といった炎症促進物質の生成を抑える働きがあります。
  プロスタグランジンE2やロイコトリエンB4はn-6系脂肪酸(リノール酸)由来のアラキドン酸からつくられるので、リノール酸の摂取をやや抑えて、”しょうが”を食べる習慣をつけると、RAやOAの予防や、おそらく肌の荒れや乾燥の予防など、美容にも役立つと思われます。
  エジプトのマンソウラ大学医学部のFouda氏らのラットを用いた研究(Basic Clin Pharmacol Toxicol 2009;104:262-71)によれば、しょうが抽出物を1日50mg/kgを26日間、腹腔内投与した場合、関節の痛みや腫れ、関節内の発熱、軟骨破壊などが緩和され、TNFαを含む炎症性サイトカインの血中レベルも下がるそうです。
  そして、しょうが抽出物を1日200mg/kgにすると、外用消炎鎮痛剤インドメタシン2mg/kgよりも効き目があるそうです。
  また、デンマークのオデンセ大学環境医学のSrivastava氏らの研究(Med Hypotheses 1992;39:342-8)では、臨床試験の方法があまり明確に記されていませんが、RA患者28名とOA患者18名に適量のしょうがを取り続けてもらったところ、関節の痛みについて、RA患者では著しく軽減74%、かなり軽減11%、多少軽減4%、変化なし11%であり、OA患者では著しく軽減55%、かなり軽減22%、多少軽減11%、変化なし12%でした。
  “しょうが”の効力は最近のTNFα阻害薬(インフリキシマブ、エタネルセプト)には及びませんが、”しょうが”は安価で、ほとんど副作用なしに、RAやOAの関節痛や腫れを和らげてくれます。
  RA になってしまうと、その炎症は関節部分にとどまらず、全身の血管などで動脈硬化が進行するため、比較的若い年代で心筋梗塞や脳卒中といった重篤な心血管病を起こしてしまうリスクがあります。
  RAの予防の観点から、感染症やケガに注意しながら、”しょうが”を摂ることと、日光にあまり当たる機会がない人は免疫系の暴走を調整するビタミンDの摂取も心がけて下さい。