【第5節】ビタミンDとショウガで大腸がんになりにくい腸内環境をつくりましょう!

  最近、健康雑誌などの編集者や記者の方などから、なぜビタミンDが大腸がんの予防に有効なのかを尋ねられますので、このブログの読者の方もそう思われることでしょう。
  そこで、ビタミンDによる大腸がん予防のメカニズムについて簡単にご説明したいと思います。
  大腸がんの大部分は、良性のポリープが発がん刺激を受け続けることによって次第にがん化してしまうものです。
  食物として摂取された脂肪の消化・吸収には胆汁酸が必要であり、胆汁酸には肝臓で合成される一次胆汁酸(コール酸やケノデオキシコール酸)と、一次胆汁酸から腸内細菌によって生成される二次胆汁酸(デオキシコール酸やリトコール酸)があります。
  コレステロールからつくられる、これらの胆汁酸のうちで、リトコール酸(Litocholic acid)には発がん作用があるため、大腸でリトコール酸が大量につくられると、大腸に炎症が生じやすくなり、さらにその炎症部位からがん化が始まるおそれがあるのです。
  ところが、血中のビタミンD(カルシジオール)は大腸の上皮細胞内で活性型ビタミンDに変わり、この活性型ビタミンDがリトコール酸とカルシウムを結合させて発がん性のない物質にします。
  ちょうど、歌舞伎にたとえると、カルシウムが歌舞伎役者で、ビタミンD(活性型ビタミンD)が黒子に相当するため、カルシウムだけ多くても大腸がんの予防には役立ちません。
  一方、便秘などで、食べた物が長く腸管内に停滞すると、善玉菌であるビフィズス菌などの乳酸菌が減り、逆に悪玉菌であるウェルシュ菌などの腐敗菌が増えてきます。
  腐敗菌はタンパク質を分解して発がん物質を作ったり、老化を早めたりします。
  たとえば、食肉中のアミンは腸管内のウェルシュ菌によって、発がん作用のあるニトロソアミンに変化します。
  つまり、ウェルシュ菌などの腐敗菌によって生成されるニトロソアミンが、二次胆汁酸であるリトコール酸によって傷つけられた腸粘膜をがん化させます。
  したがって、動物性脂肪の多い肉(牛・豚・羊など)やコレステロールの多い食品(卵黄・レバー・魚卵など)をよく食べる人で、常に便秘ぎみの人は、大腸がんの発症リスクが高くなります。
  そのような人は、ショウガに含まれるジンゲロールが胃腸の働きを活発にして、便秘解消などに役立ちますし、ビフィズス菌などの乳酸菌も腸内環境の改善に役立ちます。
  インドのウッター・プラディッシュ州にある産業中毒研究センターのShukla氏らの総説(Food Chem Toxicol 2006;45(5):683-90)では、動物の発がん実験やがん細胞の移植実験において、ジンゲロールなどのショウガに含まれる成分が胃がん、大腸がん、乳がんなどの増殖や転移を抑えるという研究報告を多数紹介しています。
  たとえば、ジンゲロールは大腸の上皮細胞に存在するシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)という酵素の作用を阻害することによって、大腸がんの成長を食い止める働きをします。
  多量飲酒による二日酔いはアセトアルデヒドが原因ですが、このアセトアルデヒドが大腸がんや乳がんなどの発生に関わっています。
  それはアセトアルデヒドが分解される際にでるフリーラジカル(活性酸素など)によって遺伝子が傷つけられ、その修復がうまく行かないと大腸や乳がんになると考えられています。 
  大腸がんにならないためには、動物性脂肪の多い肉(牛・豚・羊)を食べ過ぎないこと、慢性的な便秘にならないこと、二日酔いするほどお酒を飲まないこと、太りすぎないこと、そして、十分なビタミンDを血中に蓄えておくことです。